白蓮れんれん - 第三話「ミッションスクール」のネタバレあらすじ
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このページでは林真理子著「白蓮れんれん」の第三話「ミッションスクール」のあらすじをご紹介して行きます。尚、このページにはネタバレを含みますので、その点、ご理解頂いた上でこの先、読み進めて下さいませ。
以下、本ページの見出しとなります。
各見出しは「白蓮れんれん」の中に登場するものではなく、私がつけた小見出しとなります。
第三話「ミッションスクール」
- 西洋の食事の導入
- 福岡で初のキャデラック
- 伊藤伝右衛門邸の建物の改築
- 言葉遣いの改革
- テーブルマナーの改革
- 使用人の在り方の改革
- 披露宴後に燁子が受け取った一通の手紙
- 初枝と静子 - 東洋英和女学校への進学
- 燁子の陰口が一掃される出来事
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第三話「ミッションスクール」
伊藤家の改革に乗り出した燁子は、これまで伊藤家では当たり前であった様々な習慣に切り込んで行くことになります。
西洋の食事の導入
まず、燁子は朝食を洋食に変えました。
トーストとハムエッグに紅茶という現代でも一般的な朝食をいち早く福岡の地へ取り入れたのです。
伊藤家の子どもたちを初め、伊藤家の女中らは見慣れる食事にただただ驚くばかりです。
伝右衛門は上京する機会も度々あったことから、実は西洋料理には慣れており、一人、そそくさとトーストに手を付けるのです。
伝右衛門は父「伝六」と同じように胃潰瘍に苦しめられていましたが、パンはお腹にも優しいという事で伝右衛門は喜んでトーストを食べたそうです。
福岡で初のキャデラック
伝右衛門は今までケチと陰口を叩かれるような男でしたが、燁子が伊藤家に来てからというもの、財布の紐は緩くなる一方でした。
これは、見知らぬ土地に一人来た燁子を出来る限り、手厚く持てなそうという伝右衛門の優しさだったのかもしれません。
着る服に関しても洋服を着る機会が増え、また、幸袋の本家から八里離れた天神の別邸へ行くためにはキャデラックも購入しました。
当時は福岡で車を所有しているものはおらず、この時のことは新聞にも取り上げられたほどでした。
筑豊御三家の麻生家「麻生太吉」でさえも、当時はまだ人力車しか持っていなかったのです。
伊藤伝右衛門邸の建物の改築
燁子は度々、家に入ってくる強請(ゆすり)やたかりを恐れるとともに毛嫌いしていました。
人々は伝右衛門邸の道に面した伊藤商店の引き戸、または、勝手口から簡単に出入りすることが出来たため、時に変な輩も入って来てしまうのでした。
そんなこともあってか、燁子が伊藤家に嫁いでからは、邸の周りにコンクリートの塀を作り、邸の全方を大きな塀で囲うように改築することになりました。
来客は庭を通って、数寄屋風の式台のある玄関から入るようになったのです。
ちなみに以下の記事で私が伝右衛門邸を訪れた際に撮影した画像や動画をご覧頂くことが可能です。
⇒ 【関連】伊藤伝右衛門の邸宅跡を画像と動画で紹介 - 目次
言葉遣いの改革
初枝と静子は既に「お早うさん」ではなく「ご機嫌よう」と言うことにも慣れ始めていました。
やんちゃ盛りの八郎も初枝や静子のように、燁子によって言葉や礼儀作法を改められることになりました。
八郎は伝右衛門のことを「おとっちゃん」、初枝のことを「あんちゃん」と呼んでいましたが、それぞれ「お父さん」、「兄さん」と呼ぶようにと改められることになったのです。
また、使用人に対して、さん付けをする必要がないというのも華族出身の燁子にとっては当たり前の考えでした。
それまで、伊藤家では女中達に対してはさん付けで呼ばのが普通でしたが、燁子は八郎にも今後はさん付で呼ぶ必要などないと言うのでした。
しかし、八郎はこれまで伊藤家の主婦役を務めてきた女中頭のサキに対して、サキと呼び捨てにするなんて考えられません。
「いやだ、いやだ。」
「そんなの出来ない」
と、八郎は泣きべそをかきそうになりながら困惑するのでした。
テーブルマナーの改革
伊藤家では食後に飯茶碗にお茶を入れて、食後のお茶を飲むのも普通のことでした。
しかし、それも燁子によって改められることになります。
また、食事をする時には正座をし、きちんと背を伸ばして食べるようにも改められることになります。
更には、食事中にこぼしてしまったものは見た目の面でも衛生面でも良くないので、拾って食べてはいけないというようにも燁子は初子や静子、また、八郎に言い聞かせるのです。
しかし、八郎は学校の先生は食べ物の一つ一つはお百姓さんが汗水垂らして作ったものだから、一口も無駄にはしていけないと教わったのだと燁子に反抗をする訳です。
ですが、それに対しても燁子は学校の先生が間違っているのだと断固として自分のスタンスを譲りません。
そんな八郎と燁子の間で一悶着あった時に女十頭のサキがうっすらと笑っていたのを燁子は見逃しませんでした。
使用人の在り方の改革
伊藤家では主人側と使用人との境界線がきっちりと引かれていないことを燁子はたいそう気になっていました。
若い女中であるタネは静子と一緒に夢中になってゴム跳びをして遊んでいたり、立ったままの状態で主人である伝右衛門にものを伝える様も燁子にとっては我慢の出来ないことでした。
そんな燁子は女中たちに伝右衛門や自分自身に話をする時は、敷居に手をつき、様子をうかがってから話を始めるように注意をします。
また、燁子は女中や下男に"さん付け"をしていては、けじめというものも付かないと言うのです。
女中たちは突然の燁子の注意に困惑を隠すことが出来ません。
そんな中、女中頭のサキは自分たちは使用人の立場であると言っても、伊藤家とは遠い縁続きで付き合いも長い者ばかりで、みんなが「〜しゃん」とさん付けで呼び合うのが当たり前になっていると言います。
そして、自分たちは馬や牛のように呼び捨てにされても気にしないけど、伊藤家の外の人たちはそれを見てどう思うだろうかと暗に燁子に対して意見をするのです。
燁子はふてぶてしく少し意地の悪そうなサキに苛立ちを感じ、「お前に忠告をしてもらおうとは思いません」、「この家をどうするかということは私が考えることで、お前が指示することではない」と、ここぞとばかりに"お前"と相手を下に見るような言葉を強く使って、サキに対して言い返します。
また、前から気になっていたサキが伊藤家の財布からお金を勝手に抜き出し、たかりやゆすりなどの輩が家に来ると、お金を渡して追い払っていたことにも触れて、今後、そういった者達の相手をしたり、話したりする必要はないと言い伝えます。
また、今後は燁子の許可なしに勝手に前もって約束のない人間は玄関のところで帰ってもらうように言うのです。
そんな燁子は見て、何故か、サキは余裕を持った面持ちでうっすらと微笑するのでした。
披露宴後に燁子が受け取った一通の手紙
実は燁子はサキの余裕を持った微笑の意味を感じ取っていました。
というのも、披露宴が終わった後に燁子は一通の手紙を匿名の人物から受け取っていたからです。
燁子宛に届いた手紙を祝いの手紙を疑わずに開封した燁子はその手紙の内容に驚きます。
その手紙はなんと、伝右衛門の女関係を暴露する内容の手紙だったのです。
その手紙には博多天神の別邸に「奥さん」と呼ばれる女性がいたことや、馴染みの芸者が五人は少なくてもいること、そして、本邸の女中頭にも手を出していることが書かれていたのです。
天神の別邸の女性に関しては、お見合いの席で仲人を務めた得能からうっすらと聞いており、また、燁子との結婚が決まった時点で伝右衛門がお金でその女性との関係を整理したことも聞いていました。
ですが、女中頭のサキにまで手を出して関係があったことなど聞いていなかったのです。
この手紙に書かれていた内容を読んでいた燁子は、女中頭のサキがなぜ、伊藤家で財布を握り、客人の対応をサキの判断で行い、そして、燁子には余裕を持った態度で接するのかを理解することが出来たのでした。
初枝と静子 - 東洋英和女学校への進学
燁子は初枝と静子を自分が通った東洋英和女学校に通わせたいと考えていました。
その為、来年小学校を卒業する静子をそのまま東洋英和女学校へ進学させ、現在、直方女学校の二年生の初枝には東洋英和女学校へ編入させようと考えていたのです。
伊藤家の中の人間からは燁子は初枝と静子を外に追い出したのだと陰口を叩かれることもありましたが、燁子は純粋に二人に最高の教育を受けさせ、高みへ高みへの引き上げて行こうとしていたのです。
てっきり、初枝が通う直方女学校へ進学すると思っていた静子は、見知らぬ東京の学校なんて行きたくないと、駄々をこねますが、燁子の「東京の女学校へは普通の人はいけない。あなたたちはとても恵まれているから行けるのです。」という言葉に一蹴されてしまいます。
静子は伝右衛門に救いの手を求めようとはしますが、伝右衛門は知らん顔。
伝右衛門は養子の金次や金次の弟の八郎のことに関しては興味を示しますが、初枝や静子などの女子のこととなると全く関心を示さないのです。
こうして、初枝と静子は東京にある東洋英和女学校に通うことになるのでした。
燁子の陰口が一掃される出来事
燁子のこうした伊藤家の改革に、伊藤家で務める使用人や伊藤家の外の人間からは度々、燁子に対して陰口が出ることがありました。
しかし、そんな陰口も一掃されるような出来事が起きたのです。
それは、現人神と称される天皇が陸軍特別大演習のために久留米を中心に九州へ行幸することになった時でした。
当時は天皇の姿をちらりとでも拝むことが出来るのは一生に一度あるかどうかと言われるくらい、貴重なものでした。
そんな一大事に幸袋の町では天皇の行幸のこと話題が持ち切りとなったのです。
服はどんな服を着るべきなのか、また、天皇が通りかかる時は地面に頭をくっ付けておくべきなのか、それとも、最敬礼をするべきなのかと、幸袋の町の人達は突然の一大事に慌てふためく訳です。
しかし、町の人たちはふと、伊藤家にはその天皇の血が流れた燁子が住んでいることに気づき、改めて、燁子の凄さを再認識することになったのです。
それからと言うもの、今まで燁子に対して発せられていた陰口はピタリと止まったのでした。
他の話の白蓮れんれんのネタバレあらすじ
現在、白蓮れんれんのネタバレあらすじを追加している最中です。
まだ、全話文のあらすじは書けておりませんが、今月中には全ての話のあらすじが追加される予定です。
以下の目次ページから現在、公開済みのあらすじ記事をご確認いただけます。
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